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2008年8月後半くらいに読んだ本

最近、小説以外の本もいい加減真面目に読もうかと考えている。

劇団ひとり『陰日向に咲く』
No.153
幻冬舎文庫:2006
☆☆☆☆

芸人が書いた本だけど全然ネタとか関係なくて直球な小説だとか、一時期やたら売れてたとかは知っていたが、正直そんなに期待してなかった。

短編集。サラリーマンがホームレスにあこがれる話「道草」から始まり、登場人物の一部が後の短編でも微妙に重なって……的な連作の体を取っている。

叙述的な仕掛けもあったりで、「どのような話を構成すれば読ませるか」という点において極めて意識的な作品だと思う。小説に対する方向性に乙一と似たところを感じさせるな。

短編集のお手本のような作品で、何も「劇団ひとり」の名前がなくても十分売れる(ここまでは流石に売れなかっただろうが……)と思った。分量も少ないので入門編としても最適。

これが面白いと感じるならば伊坂幸太郎の短編なら『死神の精度』、長編なら『ラッシュライフ』あたりがオススメ。そこからもっとミステリ色の強い『アヒルと鴨のコインロッカー』に行くとか。もしくは乙一の『失はれる物語』から本格のテクニック色強い『GOTH』なんて流れも面白い。

乙一『暗いところで待ち合わせ』
No.154
幻冬舎文庫:2002
☆☆☆

乙一にしては珍しい、中長編に分類される作品。ざっくり言うと殺人事件に遭遇した男が1人暮らしの全盲女性の家に、全盲だからこっそり入り込んで隠れてれば分からんだろ的な考えて入り込む話。

オチはある程度予想可能。どういうオチにすれば途中も読ませるか、ということをちゃんと理解して書いてる人だから安心して読めます。

やっぱりこの人の本格的な長編(連作短編で実は一つの長編でした、というのではなく)を読んでみたい。
by fyama_tani | 2008-08-31 22:49 | 本:国内ミステリ