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殊能将之『黒い仏』

No.44
講談社文庫:2001
☆☆☆
 まったく無害に思えたのですね。コレまでのページには、どんな確かな原理も含まれず、どんな教義も広めず、どんな信念も侵害しない、と……。
 しかし、槌は振り下ろされ、もはやすべては遅すぎるのです。

どこかで読んだ、独裁者が次々と出してくる統制が、自分の宗教には関係無いという理由で何も意見していなかったら、最後にそれが規制された時に、味方になってくれる人はみんなそれまでの統制でいなくなっていて何も出来なかった、という修道僧の話を思い出した。

前作『美濃牛』に続き、石動戯作が主要登場人物として出てきます。物語は、9世紀に天台僧の円載が残したとされている秘宝を探すために石動がダイエー(当時)の日本シリーズ出場に沸く福岡へ行くというパートと、同じく福岡で見つかった身元不明の殺人事件を捜査する刑事のパートに大きく分かれます。

全ての描写が肩透かしをくらわせるような感じになっているというか、穿った見方をすれば読者を小馬鹿にしたように見えなくもなくて、それが合わない人には合わないかもしれません。後半に出てくる居酒屋のメニューあたりは、ちょっとくどすぎるかも、と思いました。

あとこの人の書く小説は料理が凄いうまそう。今回も、石動が宿泊することになる旅館は、田舎のボロ旅館ではあるけれど何故か料理だけは一流。そうとう思い入れがあるのでしょうね。

他の人のブログとかも読んでみたのですが、この本ネタバレ無しで説明するのほとんど無理。

関連本→
宮部みゆき『初ものがたり』:短編一つ一つに出てくる料理が、こちらもおいしそうに描かれています。

以下若干のネタバレ
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by fyama_tani | 2006-09-30 23:10 | 本:国内ミステリ

古処誠二『未完成』

No.43
講談社ノベルス:2001
☆☆☆☆
「いやいや、あれはポンカン」
「は?」
「内地の人は、よく間違えますな」

種があると面倒で食べなくなる。そんな不健康生活まっしぐら。

氏のデビュー作、『UNKNOWN』が注目されたきっかけというのは、普段なじみが無く、そしてミステリの世界においてもあまり着目されることがなかったであろう、自衛隊を舞台にしたという点にあると思うのですが、それに続いてこちらも自衛隊が舞台。しかし、『UNKNOWN』がいわゆる普通の駐屯基地が舞台であったのに対して、本作の舞台は離島の通信基地。すなわち、自衛隊的な観点からしても特殊なところを扱っているのです。

活躍するのは防衛部調査班の朝香二尉と、『UNKNOWN』でたまたま朝香二尉の助手役を務めたことで、またコンビを組まされることになった野上三曹。物語は、主に野上三曹の視点から語られます。

肝心の事件は、射撃訓練中に消失した小銃の行方と、その犯人探し。防衛部調査班の内部調査という名目なので、当事者以外には調べていることを一切知られてはならない、という状況が物語り全体に緊張感を与えます。あと、ポイントは、事実だけを抜き取れば別に舞台が孤島である必要無いんじゃない? みたいなところでしょうか。

この謎解きの過程において、二転三転するディスカッションもさておき、島の人々や、基地に勤務する自衛隊員の様子などが丁寧に描かれていきます。画一的になりかねないところ、ちゃんと書き分けが上手くきいているので、多目の登場人物もあまり気になりません。

そして明かされる真相、と同時に、全く異なった問題にも光が当たることになります。この作品以後、氏は戦争を題材にした小説に活動の中心を移していて(未読なので自信無し)、ミステリ的な作品は書いていないのですが、これはそういったことの一種の伏線なのでしょうか?

でもやっぱ謎解き部分も面白いし、このキャラクター設定も魅力的だと思うので、もう一度こちらに戻ってきて欲しいなあと自分としては思うのです。

関連本→
多島斗志之『不思議島』:同じく離島が舞台。「孤島」では無いという点も同じ。人物の動きで読ませる点も同じ。
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by fyama_tani | 2006-09-27 22:35 | 本:国内ミステリ

北村薫『秋の花』

No.42
創元推理文庫:1991
☆☆☆
 ともあれ、そういうわけで私はフロベールをもう少し読んでみようと思い、『感情教育』に手を出したのである。そしてまた『ブヴァールとペキュシェ』に進み、『フロベールの鸚鵡』まで読む事になった。縁というものである。

本に関してここまで深い理解ができるというのは素直に凄いと思います。っていうか、フロベールって誰。

『空飛ぶ馬』『夜の蝉』と続く名無しの女子大生「私」が主人公のシリーズ3作目。本作が初の長編であり、同時にまたはじめて本格的な殺人事件を扱った作品でもあります。

レギュラーメンバーのふるまいや会話など、断片を切り出すと前2作と変わらない、どこにでもあるような日常、って感じのお話となるのですが、全体的には暗いトーンで淡々と進んでいきます。人の死が関わっているということを否応なく感じさせる雰囲気であると言えます。

そして本作において謎解き役である落語家の春桜亭円紫師匠、彼の使い方が本作を最も特徴付けているのではないかと思います。前2作でのこの人のスタンスは、終盤に「私」の前に出てきて、話を聞いた瞬間に全てを解き明かす、というもの。これが、長編である本作においても全く変わらないのです。自然、本作における彼の出番は終盤を待たなくてはいけないものとなりますし、作品全体において、若干印象に残りづらいポジションにいることは可能でしょう。というか、謎解きに主眼を置くならば、そもそも長編である必要があったのか? という問題が生じてきます。謎自体も魅力的なモチーフはあれど、それほど複雑なものではないですし……。

しかし、これこそが作者の狙いでしょう。この事件において真に重要な事は、真相の解明ではなく、その後関係者がどうやって乗り越えていくか、という点、これを明確にするために、「真相の解明役」たる円紫師匠は影が薄くなければなりませんし、作者がやりたかったことがこれであるということは、一見尻切れトンボのようにも思えるあっけないラストからも裏付けられると考えられます。

それと関係ないですけれど、国文科の人たちって、みんなこれ位本に対して造詣が深いものなのでしょうか? 登場人物たちの本に対する姿勢を見ると、襟を正したい気持ちになります。普段本をほとんど読まない人間にとっては。

関連本→
京極夏彦『魍魎の匣』:他の要素に浸食されきっているところはあるけれど、本来描きたかったことは本作と共通している、かも。
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by fyama_tani | 2006-09-25 23:11 | 本:国内ミステリ

近藤史恵『ガーデン』

No.41
創元推理文庫:1996
☆☆☆
「じゃあ、貴方の役割はなんなんですか」
「わからないよ。たぶん、次の被害者かなんかじゃないのか」

日常からは脱却できても役割からは脱却できない。

序盤だけを読むと、失踪した火夜と呼ばれる女性を探すために、探偵の今泉が捜査を開始し、そのうち殺人事件に巻き込まれるという、王道を行く臭いがします。しかしそれは中盤以降、読んでいるこちらが心配になってしまうようなペースで崩れていくことになります。

読者の認識を疑う、という点のみを取れば、似たような作品はいくらでもあります。そういう作品の多くは、登場人物の「名前」がキーワードになっているような気がするのですが、本作は火夜を始めとする変わった名前の登場人物が複数出てきながら、主題は名前に無いような気がします。多分、ここで重要になってくるのは「役割」。作品全体を通して、当事者間での役割と作品世界全体における役割の二層性が漂う作りになっています。

この事と、「名探偵」今泉の最初の事件であるということは偶然では無いでしょう。今泉を「探偵」という役割を与えられた人というキャラ付けにすることで、最初の事件を鮮やかに描ききった気がします。

小説という形態の大きなアドバンテージであることを生かし、一部の事項は敢えて丸投げになっている感があります(顔の表情など、映像情報があれば一瞬で分かることを敢えて省略してしまうことで、解釈は読者にゆだねられる)。かなり実験的色が強い、という印象。

関連本→
殊能将之『美濃牛』:同じく、名探偵最初の事件を扱った佳品。
あと強い相似形を示す作品を一つ知っているが、お互いにとって大ネタバレになるので、ここには書けない。
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by fyama_tani | 2006-09-20 22:38 | 本:国内ミステリ

サンフランシスコ滞在6-7日目(9/14-15)

今日はもうホテルをチェックアウトして空港へ行って帰国するのみです。何も無いはずです。と思いきや。

昨日の帰り際、

「えっと、明日の朝、市内で有名な18枚のパンケーキを出すという店に行ってみようと思うのですが、見てみたい人は7時半にユニオンスクエアに集合」

と言われて、酔った勢いでついOK出したので早起きしてその企画に行くことになってしまいました。まあ無理なら吐けば良いんだ。もう帰るだけだし。

当然、「18枚のパンケーキ」と聞いただけでどんな危険なものが出てきてもおかしくない、というのは理解できる。という事で4人で2人前だけ注文し、他のオーダーは一切しない作戦で出る。

で出てきたのがこんなの↓

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あれ? 思ったよりも全然大きくない? というかこれなら日本で出たとしてもそんなに違和感が無いだろう、という感じ。まあこれまでの5日間で胃は死にきっているので更に2人分追加、ということはしなかったが、拍子抜けするくらいあっさり完食。

しかし他の客が食べているものを見て、この選択が非常に綱渡り的なものであったことを知る。

何でアナタたちは、早朝だというのに皿いっぱいの料理を平気で食べているのですか?

というより、その皿全体を覆いつくすパンケーキってチャレンジメニューとかじゃないんですか?

実はこの5日間、卵料理を全く食べておらず、メニューにはオムレツ系のものも結構あり、「この辺りから一品選んでみようかな。でもどうせ半熟で来るんだろうな。俺半熟あまり好きじゃないし、何よりパンケーキがどんなのが来るか分からんし」とか考えて結局注文しなかったのですが、それは大正解だったみたいです。

人は5日間も同じところにいれば少しは賢くなれる。

そんなことをしていたらあっという間にチェックアウトする時間。今まで毎日ベットメイキングの人用にチップを置いていて、何か釈然としないものを感じていたのだが、最終日にこんなことってする必要あるの? と考えてしまう貧乏性。結局置いてきたんだけど。何故だか分からんが、1ドル紙幣が20枚近くまで膨れ上がっていてどうしようもなくなっていたので。

空港にはかなり余裕を持って着いたので、結構暇がある。パンケーキに行っていない人たちが何か食べたい、ということでついて行き、空港内のフードコートでハンバーガーを食べる。ここに来るまで実は本場アメリカのハンバーガーというものを全く食べずに来ていて「このまま食べずに帰るのか……」と思っていたのでまさに滑り込み。「また食うのかよ」みたいな感じで周りからは呆れられたが、まあ吐けば良いんだし。

空港内だからか、ポテトとコーラを合わせて10$近くしたが、肉は注文を受けてからグリルで焼いているっぽかったし、ポテトも今までに無い皮付きのもので、かなりクオリティの高い一品だった。いやポテトはそんなに食べずに残したんだけどね。これで自分の中での「いかにもアメリカ的メニュー」は分厚いステーキを除いて全て達成したことになるのだろうか。胃のペース配分がもっと気が使えて、面倒臭い人さえいなければ何とかなったかもしれないんだけどね……。

あ、あと「現地の日本料理店」というのにも入ってないか。もちろん良いものを期待(というかアメリカまで来て、日本食の美味い店を探す行為は「負け」だろう)しているのではなく、ネタ的な観点として。割と楽しそうな店を幾つか見つけた。

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上:チャイナタウンで。「おお、回転寿司の店だあ」と思ったらパンとかが流れていて、全然意味が分からない。流れているのが皿ではなくて船(そしてベルトコンベアーではなくて水が流れている)というのも変な話だが、画一的なベルトコンベアーではなくて、日本にも取り入れると面白いかもしれない。

下:結構やばそうな雰囲気の通りで。寿司のディスプレイ容器も訳分からん(何で橋?)が、それ以上にカオスなのは右下の餅焼き網に乗った餃子だろう。

出国時の検査でやばいものが仕込まれているのが発見されて刑務所送りになる、ということもなく、無事飛行機に搭乗。帰りのフライトは約11時間で行きより2時間位長い。「何で?」と思ったが、「地球の自転の影響じゃない?」と言われて納得。地球規模の移動してるんだよなぁ……。

日本に帰国後はそのまま3連休という出来たスケジュールだったので、あまり帰国後の心配はせず、また2回目だったのでほとんど全部寝るということも無かった。機内のモニタでソリティアで遊んでいたが、一度もクリアできなかった(こんなに何回もトライして1度もクリアできなかったなんてこと無いんですけど……)のが屈辱。

帰国直後の一番の難関は日暮里と田端駅の階段だったかもしれない。山手線の駅といえどマイナー駅にエスカレーターのような高尚なものは無いのだよ。そして日本では手軽に自販機で飲み物が買えるのが非常にありがたい。しかも非炭酸のものを。

あと家に帰ってすぐには胃薬飲んだけど、これを最後に胃薬生活から開放されるだろう、ってのも大きいね。結局アメリカ滞在中毎朝飲んでたからねぇ……。

というわけで、初海外終了。多分もう海外出ることは、無い。

最後まで読んでしまった人へ。貴重な時間を無駄にしてしまってごめんなさい。
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by fyama_tani | 2006-09-17 15:42 | 雑記

サンフランシスコ滞在5日目(9/13・1)

明日は昼の飛行機に乗らないといけないので、今日が実質的な最終日ですよー。

とりあえず第一目的として、ゴールデンゲートブリッジを目指すことが決まっていた。ただの橋は橋なんだろうけど、世界で最も有名とされていたりする、ってことでせっかくだからと。

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↑ちなみにこれは前日、アルカトラズ島への船の中で撮ったもの。快晴ならば結構遠くからでもはっきり見える。

まずは昨日ヨセミテ国立公園(市街地から車で4時間位。かなりの強行スケジュールになるし、金もかなりかかるのでパスしていた)へ行っていた先輩と合流。そっちにも日本人ガイドがついていたらしく、かなり充実していたようだ。で、開口一番言われたのが、

先「さて、それで残念なお知らせがあります」

俺「はい何でしょうか」

先「昨日は○○さん(同行者)のホテルに泊まって、こっち(俺たちが泊まっているホテル)には今日の朝来たのだが」

俺「はあ(部屋で飲んで帰れなくなったんですかねぇ)」

先「昨日こっちについたのは22時位で、そこからガイドさんの車でホテルまで送ってくれることになったんだけど」

俺「(だったら何の問題も無いじゃん。何で?)」

先「ホテルの場所を告げたら」


「『そんな危ないところこの時間に行けるか』、って言われた」


俺「はい?」


先「どれ位危険なところかというと、すぐそばに麻薬の取引所があるらしい


何だそれは聞いて無いぞ。つうか、2日前その危ない時間よりも更に遅い時間に普通に外歩いてたんですけど。

ちなみに、ホテル周辺はこういうところです。

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やっぱダメだな。この交差点を左に曲がったところがホテル。このまままっすぐ行くのはあまりに危険そうなので行って無い。

帰国した後に本屋でガイドブックを立ち読みしてみたのだが、そこにはこんな記述が。

ユニオンスクエアから西に3ブロック、南に2ブロック進んだ地域は危険なので近づかない事。
うんホテルがあった場所ズバリそこな。

さて、ゴールデンゲートブリッジだが、バスを乗り継いでいかなければいけないので、今まで行った場所の中で最も面倒臭いと言える。逆に言えば最後にふさわしい。そもそもこちらのバスに乗るのが初だし。とりあえずフリーパスがあるので運賃の心配をする必要は無い。あとは降りるタイミング。特に、乗り継ぎがうまくできるかが最大の問題。こっちのバスは案内無しって言うからなぁ……。

頼りになるのはネット上で拾ってきた市街地のバス路線が書かれたマップのみ。まずバス停を探すのから困難。これはバス停が目立たない(そりゃ、電柱に色塗っただけみたいなものもあるんだが、この情報は予め知っていたので特に問題にならず)という意味ではなくて、方向。サンフランシスコ市街地は碁盤の目に整備されていて、歩く分には非常に分かりやすい構成になっているのだが、何故か一方通行が異常に多い。道が狭いならともかく、5車線位あるのに一方通行とかまるで意味分からん。あと標識とかもそっけなく、その割にかなり複雑な優先順位が存在するらしい(昨日のガイドから聞いた)。レンタカーとか借りる方向にいかなくて正解だったかも。とにかく、そういう状況なので当然バスが通るルートも行きと帰りで全然違うなんてのはザラで、逆方向のバス停を見つけたから反対側に渡れば良い、というのは通用しない。

結局、少し先に進めば一方通行が無くなるだろう、という憶測で先に歩き、バスを捕まえる。バスなのに何故か2両編成(広島の路面電車で似たようなものを見かけたような……)。とりあえず、運転手に「ゴールデンゲートブリッジに行きたいのだが」と告げると首を振られる。「何で?」と思うが、他の人が無視って乗ってしまったのと、すぐ出発する勢いだったので「ははあこれは運転中は声かけるなという事だなあ」と作為的に解釈したので、そのまま乗車。行けなくてもどうにか帰ってこられるでしょうと。

そしてどんどん少なくなる乗客。「降りた瞬間撃たれるんじゃね?」みたいなことが脳裏をよぎった頃、突然の停車。

運「終点だ。降りろ。殺すぞ

えだって地図によればこの路線もっと先に進むはずなんですけど。といってもそんな交渉力は無いので素直に降りるしかない。こういう時、一番ある可能性が途中止まりと終点まで行くもの2種類が存在するという可能性。どうやらそれは当たっていたらしく、すぐ先に同じ路線を示すバスが。それに乗ったら更に先に行けた。あと乗り継ぎ場所も何とかなった(バス停は交差点ごとにあるから、降りる場所が分かっていて注意深く外を見ていれば結構どうにかなる)。今度の運転手は割と気さくな方だったのか、降り際、「28番(ゴールデンゲートブリッジへ向かうバス)のバス停はあっちだぜ」と教えてくれた。こっちは何も言っていなかったが、バス停周辺はあからさまに何も無さそうな雰囲気だったことと見た目から明らかだったらしい。そしてそのバス停には確かに観光客らしき集団が。それに乗って10分位でゴールデンゲートブリッジに到着。所要時間1時間強。見積もりよりは早く着いた。

昨日は快晴だったので、遠くからでも見えたゴールデンゲートブリッジだったが、今日の天気はあいにくの曇り。するとここはどうなるか……

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霧。サンフランシスコの代名詞みたいなものですが、これまで結構天気が良い日が続いていたので、視界がさえぎられるほど、ってのは無かった。それがこんなところで。それはそれで凄い印象深いものはありましたが。でもやっぱりというか半端無く寒い。

さて、ここまで来たら橋を歩くしかない。ちなみに車は通行料を取られるが、歩道はタダで歩ける。全長3Km位あって、帰りの交通手段が確立されていなかったので対岸まで渡るということは最初から選択肢になかったけれど(多分この霧じゃ渡りきって何かが変わるということは無い)、行ける所まで行ってみようかと。風がかなり強く、かつ高いので結構怖い。

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↑こんな感じ。もう少し先に行くとフェンスが無くなり、赤い柵(1.5m位)だけになる。

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↑橋から今来た対岸を見る。濃い霧でもう何だか分からない。

施工上の問題なのか何だか分からないが、歩道には数メートルおきに小さな穴が開いていて、そこから下まで見える。で、その穴から見積もるに、歩道のコンクリートの厚さは5cm程度とかなり薄い。よくこんなんで大丈夫ですねぇ。揺れとかは全然無いけど。

結局1/3程度で引き返す。何より寒い。軽くみやげ物屋を見てバスの待ち時間の間にホットドックを買ってお釣りをぼられる。バスで元来たルートを引き返し、フィッシャーマンズワーフ付近でケーブルカーに乗り換え、Lombard St.の所で途中下車。昨日のガイドから聞いて気になっていた場所を回ることに。でもここから先は結構ノープランだ。

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ケーブルカー降車地点。写真が曲がっているように見えるのはカメラが傾いているのでは無くて、道が物凄い坂で傾いているから。 <最初ここまで歩くつもりだったが、あまりに急な坂なので一旦坂を下りきり、ケーブルカーに乗ったらしいですこの人たち

〔補足〕
何だか知らんが、サンフランシスコ市内はいろんな乗り物が走っている。乗り物マニアにはたまらない街なのだろう多分。ここまででそのほとんどを制覇したので、簡単に分類。

・BART
空港から乗ったり、バークレーに行った時に乗ったもの。一番近代的な鉄道。中距離移動用か。フリーパス対象外なのが痛い。

・メトロ
1日目の野球観戦で球場に行くために使ったのがこれ。5路線位走っている。名前から日本の地下鉄みたいなものを想像してしまうが、実際は2両編成程度だったり、地上を走っていることも多かったり(地下にする計画があるみたいだけど)して、路面電車に近い感じ。駅もバス停に毛が生えた程度だしね。何路線も並走しているところでは運転密度がかなり濃く、30秒に1回位の割合で次の電車が来る(ホームが1個しかないから)。案の定詰まることも多い。

・バス
運転手のオヤジが総じて無愛想。普通のいわゆるバスと、電線から電気を取ってそれで走るトロリーバスが混ざって走っている(最初ここに来たとき、「トロリーバスが走ってる!」って言った人がいて、「何ですかそれ?」って俺が聞いたら、トロリーバスも知らんのかみたいな顔をされたが、普通そんなもの知らんよな。俺と同じ疑問を持った人はここを参照)。中心部だと2両編成になっているものもあるかも。車内はことのほか近代化されていて、時刻などが電光掲示板に出る。でも次に止まるバス停みたいな、重要な情報は出ない。それに停車リクエストも、アメリカのバスでよく聞く、壁伝いにかかっている紐を引くタイプだった。

・Fライン(ヒストリックカー)
特殊路線。位置づけとしてはメトロとバスの中間みたいな。メトロみたいな(メトロの路線はJとかKとかアルファベットで表されている)呼ばれ方なので最初駅があるのかと思いかなり探した。実際の停留所はバス停風。特徴は走っている車両。レトロ車両を世界中から(広島から持ってきたものもあるらしい)集めてきて、ここで走れるように修繕、トロリーバス風に改造して走らせているらしい。事実いろんなものが走っているので、その手の人には飽きない光景だろう。2日目、バークレーの帰りにフィッシャーマンズワーフまで行く時に使ったのはこの路線。逆方向にずーっと進むと世界最大のゲイの街、カストロに着く。怖いから行って無いけど(その手の人が怖い、というだけでなく、エリア的にあまり治安が良くないところでもあるので)。

ちなみに、トロリーバスの架線(とでも言うのか?)は良く取れるらしく、一度カーブを曲がりきれずに取れてしまい、動かなくなってしまったバスを目撃した。すると運転手が出てきて、「またかよ、しゃーねーな」みたいな感じで1分とかからず修復、再起動、という感じ。あと交差点では電線がぐちゃぐちゃに交差しているようなところもあって、事故とか起きないのか? と思う。

・ケーブルカー
特に坂が厳しいところを走る。基本的には観光客向けで、地元民はバスを使うらしい。遅い、乗り心地悪い、なのに高いとまさにおのぼりさん向け。死ぬほど混むので始発から乗らないとまず乗れない(定員があるらしく、超過すると車掌に追い出される)。先の写真を見ると、外にせり出して棒に捕まっている人がいると思うが、席に座れなかった場合、ああやって乗るのもアリ。というかそれが名物の一つとなっている。一度その乗り方もしたが、少しだけ乗る分には悪くない。でも終点まで乗りとおすとなると結構大変なような。昨日のガイド曰く、道路においてケーブルカーは全てに優先するらしいが、何かちょくちょく前を横断する歩行者やら車やらに邪魔されて、その都度運転手がキレまくっていた。

他に乗っていないものとして、郊外へ向かうCaltrainとか(これはサンフランシスコの外に出るための鉄道のような気がする)。あとは当局以外が走らせているものでも変なものが沢山ある。

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↑例えばこんなオープン式2階建てのバスとか。ケーブルカー車両を模したバスなんてのも北部で結構見かけたな。

―5日目・2(世界一曲がりくねった坂道、Coit Tower、St. Peter & paul教会)に続く―
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by fyama_tani | 2006-09-17 15:38 | 雑記

サンフランシスコ滞在5日目(9/13・2)

ケーブルカー乗り場からLombard St.を東にしばらく歩くと昨日は車の中から一瞬しか確認することのできなかった、「世界一曲がりくねった坂道」にぶち当たる。その急さとわざと作った(実際そうなんだと思うが)としか思えない曲がりくねり方のコンビネーションは壮観だが、もっと凄いと思ったのが、

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うんここは車道だな。下り一方通行の模様。

ネタとマジ、どれくらいの割合なのかは良く分からなかったが、途切れることなく車は来ていた。車道は1台通るのがやっとくらいなので危険(早い話が、教習所にある坂道発進用の坂をもっと急にした上に、何故かそこにクランクを作っちゃいました的なもの)ではあるのだが、歩行者用の階段はまっすぐで面白くもなんとも無いので、危険を承知で車道を歩く。結構こまめに退避場所があるのでまあ何とかなる。しかし信じられないことに、こんなところにまで停車してる輩もいる。途中30台位のオヤジツーリング軍団を見かけたりする。世界中見渡しても、坂だけでこんなに楽しめるのはここだけだろう。

といっても降りてしまえばここに用は無い。次の目的地はどうする? 的なことになって地図を見るとまっすぐ行った先に「Coit Tower」なる塔があることが分かる。さっきから見え隠れしている(上の写真に遠くに写っているのが実はそう)ので気になるし、上まで上れるらしいことが分かったので次はそこへ向かうことに。

地図の上では7ブロック程度まっすぐ行くだけ。でもこれが今回の旅行で一番大変な移動だった。観光スポットに行くためにはもはやお約束になりつつある坂のぼりだが、今回は近づくまでに長大な坂を下り、もう一度同じくらい上るというルートになっていた。また、遠くからこの塔が見えるのは単にこの塔自体が高いからというだけでなく、Telegraph Hillと呼ばれる丘の上に建っているから。丘? ということでこれを上らなければたどり着けない。更に急な坂(ほとんど山登りの雰囲気)を上り、ようやく到達。こんなところ日常的に歩いていたら腰おかしくしますって。

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↑Telegraph Hillへ向かう道。この後、もっとキツイ坂が……。

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↑Telegraph Hill頂上、Coit Tower入り口付近から。まだ塔に上っていないのに既に展望台気分。

ただのレシートじゃねーか、みたいなチケットを買って、塔頂上へ。屋根は無いので、もし雨だったら全てが台無しだっただろう。多分雨だったらこんなところまで来なかったと思うけれど。

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↑Coit Tower最上階から街を一望。ああ、こんな所歩いて来たんだなぁみたいな。全体的なゆがみが坂の急さを物語っていると思う。

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↑窓枠の隙間からお金を入れる、ということが何とは無しにやられているらしい。結構いろんな国の硬貨が落ちていて、例にもれず1円玉とかもあった。俺は使いどころに困っていた10セント硬貨をぶち込んできたが。

あとCoit Towerでは1Fのみやげ物屋フロアでこんなこともやってきた。

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1セント硬貨(上段左端)を引き伸ばし、その観光地固有の絵柄が代わりに刻印される、というもの。加工料は50セントなので、1枚51セントかかることになる。気にして探すとこの手の機械は結構いろんなところにある。ゴールデンゲートブリッジでもやった。あと下段は25セント硬貨。といっても普通のものではなく、50州それぞれにちなんだデザインのもの。ややレアだが、種類を気にしなければ結構見つけられる。集めている人も多いらしい。

丘を下り、また近くに見える、という安直な理由でSt. Peter & Paulという教会へ。この辺り(フィッシャーマンズワーフの南)はノースビーチと呼ばれるイタリア系が多い街。こっちに来るまでそんなものがあるとは知らなかった。とはいえ、ここはそういう事で有名という訳ではなく、マリリン・モンローとジョー・ディマジオが挙式をした場所という事で有名らしい。

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↑外から。街灯に描かれたイタリア国旗はここがイタリア人街であることの証。

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↑中。普通の教会として機能しているらしく、フリーで入って勝手に休んでも(多分)OK。観光客向けな演出は皆無。薄暗いので休むにはちょうど良い。ここで一休憩。

ここまで来てとうとうこの周辺で見るものが無くなった。ということで南下しチャイナタウンを目指すことに。相当歩いている気がするが大丈夫か?

―5日目・3(チャイナタウン散策、ブランド店荒し、最後の晩餐)に続く―
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by fyama_tani | 2006-09-17 15:24 | 雑記

サンフランシスコ滞在5日目(9/13・3)

サンフランシスコ市内の地理は、ざっくりと分けると北からフィッシャーマンズワーフ(海沿いの地域)→ノースビーチ(イタリア系が多くいる地域)→チャイナタウン(中国人の楽園)→ユニオンスクエア(商業地区)と来てマーケットストリート(最大の通り)にぶち当たり、そこから南部地域(学会会場があったのはこっち)となる。

ゴールデンゲートブリッジの帰りにまず降り立ったのはフィッシャーマンズワーフ付近。でそのままさしたる当ても無くチャイナタウンまで来た。有名なところだし、中国系アメリカ人が多く住む地域という予備知識は持っていたが、あそこまでベタな感じだとは思わなかった。

早い話が、

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↑こういう雰囲気だった町並みが、数十分歩くだけで、

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↑こうなる。真ん中にある通りを示す標識さえ無かったら「中国に行ってきました」と言っても通用するんじゃねーの? みたいな。これでほんの入り口。中心部はもっとカオス。何故か銀行が多い。そしてどんな店でも「どんなクレジットカードでも使えます」みたいな表示がされている。ここでは買い物をしても絶対カードを使うまいと心に決める。あと、生鮮食品の店を結構見かけた。というかチャイナタウン以外の場所で生鮮食品を売っている店を全く見かけなかったのだが……。ここの人はそういったものをどうやって調達しているのだろう?

南北に7ブロックくらいあるチャイナタウンを抜けると、あれだけ大量にいた中国系がばったりいなくなる、というのも面白い。日本の横浜中華街とか神戸の南京町とかが中国チックでありながらもかなり日本よりな感じがする(ように思える)のに対して、ここは完全な異世界だった。

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↑オマケ。サンフランシスコはイタリア系と中国系が結構多い、という事を示す象徴的な写真かも。英語、中国語、イタリア語の三ヶ国語で書かれた小学校入り口。

チャイナタウンを出るとユニオンスクエア(自分たちのいるホテル周辺)は近い。というか、いい加減疲れたからどこかで休もう、という流れに。でこの旅行中人づてに聞いて有名店だと分かっていた、ユニオンスクエア前のデパートにある、CheesecakeFactoryなるレストランに入ることに。

店名からするとチーズケーキの専門店であるかのような印象を受けるし、実際そのチーズケーキは有名らしいのだが、メインデッシュ的なメニューも充実しているというか、早い話がちょっと甘味に気合の入った普通のレストランである。そしてご多分に漏れず、客のほとんどは巨大な食べ物を食べている(16時位のおやつ時だと思うのですが)。当然こんなものに手を出したら死ぬので、おとなしくチーズケーキのみを頂く。

学習しない人間というのはいるもので、注文が通じやすいようにシンプルな名前のケーキを頼めば良いのにウェイターが復唱に困るような(っていうか、メニュー指差してるんだし、俺が発音できないのはともかくお前はちゃんとしゃべれよと思うが)メニューを頼む俺。フィッシャーマンズワーフでの教訓が全く生かされていない。

これで全然違うメニューが来たり、合っていてもサイズが1ホールだったりしたら店のある8Fから身投げしてやろうかとも思ったが、今度こそは正しそうなものが出てきた。カットされたケーキの上に巨大なチョコホィップが乗っているだけでなく、皿に何故かホイップが添えられているという凄まじいもの(当然、全体的な大きさも日本のものより全然大きい)。やはりというか、味は超濃厚。水があっても足りるかみたいな感じではあったが、意外や意外、添えられているホィップは日本的な尺度に照らし合わせてもかなり甘さ控えめで、それをアクセントとして口にするとかなりいけるということが分かった。でも既におやつとか、デザートとかという枠組みは超えてます先生。

これをデザートとして、メインに他のものを食べるアメリカ人は頭がおかしいんじゃないかとその時は思ったが、帰国してから調べてみると、このチェーン店の料理はアメリカ的な尺度でも結構多い方らしい。確かに、隣の老夫婦はピザ(2人で日本のLサイズよりもでかいんじゃないか的なものを1枚)とケーキを食べて、ピザを一部残してお持ち帰りにしていた。そう、どうやら残したものをそのままテイクアウトできるというサービスがあるっぽい。多分、アメリカ人でもみんながみんな完食するというわけではなくて、テイクアウトする人も結構いるのだろう。日本人にとっても、持ち帰れるというのはかなりの利点のような気がする。金の大幅な節約にもなる(単価が全体的に安いので、一食あたりの量を数食分に振り分けられれば日本の半分くらいの食費で済むんじゃないか、という気がした)し、なにより無駄が無い。ちなみに、この店は全米中にあるみたいです。日本には全く同じ店の別物はあったけれど、進出はしていないみたい。

次にやったのはユニオンスクエア周辺のブランド店荒し。疎い人でも知っているような店ならば、この近辺で大体全部あるという位、充実っぷりは凄い。これぞ旅の恥はかき捨てとばかりに、不審者と思われかねないような高級店にもガンガン入り、値札が付けられていない品物群を見て、店員に話しかけられたら逃走。唯一アルマーニだけは入り口で黒服に追い出されたが <単に閉店時間を過ぎていただけです

夕食はチャイナタウンで。最終日という事で、ガイドブックを見て高級そうな店を適当に選び、そこに予約して行くという暴挙に出る。選ばれたのは、Empress of Chinaという名前からして凄そうな所。

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↑チャイナタウンのほぼ中心の高台から。奥にある白い建物がそれ。チャイナタウン全体として、かなり目立つ店です。

ガイドブック的には、ブッシュ大統領(父)も訪れた店との紹介。ホテルの部屋に備え付けてあったガイドブックをパラパラ見ていたらそこにも載っていて、「地元の有名人たちが良く訪れる」みたいなことが書いてあった。どうやら内外ともに認められる一流店らしい。

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↑奥に写っているのが、ブッシュ(父)も食べたというウズラの丸焼き。皮周りが旨い。最終日の夜は完全な中国料理で、アメリカっぽさは全く無かったが(回転台があまり使われなかったことが不満だった人もいたが、中華も高級店になると個人個人に一品ずつ、というスタイルになってくるような気がする)、ラストにふさわしい高級感だったような気がする。6階からの夜景も中々良かった(写真に撮ろうとしたが、上手く撮影できなかった)し。ホテルの部屋は6階だけど、奥まった場所なので窓からは隣の建物のコンクリート壁しか見えない……。

でもその後また別なバーで23時近くまで飲んでたんですけどね。何故かそこにはビリヤード台があり、俺は下手なので遠慮させてもらったが、ナインボール大会が始まっていた。1$50セントでボールが出てきて、手玉以外がポケットに入ると返ってこない(つまり、全部のボールを入れた時点で勝手に終了)というシステムだったっぽい。

では、このシステムでナインボールをやり、9番だけ残った状態で9番と一緒に手玉も入れてしまうとどうなる?

A.手玉しか返ってこない(ゲーム続行不可能)

こんな勝者無しのアホなシチュエーションが二回続くとか、何この集団。というかそれ以前に周りのアメリカ人に良い見世物になっていた感があるのだけど。

そして麻薬取引所の近くのホテルまでまた歩いて帰ると。ようやく明日が帰国です。

―6-7日目(18枚のパンケーキ、変な日本料理屋、そして帰国の途へ)に続く―
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by fyama_tani | 2006-09-17 15:18 | 雑記

サンフランシスコ滞在4日目(9/12)

午前中は単独行動。ということでかなり好き勝手動かさせてもらった。大体の店が10時にならないと開かないから、それほど行動範囲は広くできないのだけれどね。

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サンフランシスコ近代美術館(SFMoMA)。学会会場のすぐそばにあって、前から気になっていた。といっても実際の展示品の方ではなくて、併設されたグッズショップの方。それぞれの入り口は独立していて、美術館に入っていない人でも勝手に入ることができる(多分。追い出されることは無かった)。品揃えは、もちろん美術館のロゴが入った各種アイテムもあるのだが、それとは関係無い各種小物も大量にあり、早い話が雑貨屋。マジの美術品には手を出せない(無造作に並べてあって、「ここにあるもの20~200$」みたいな表記がされているのみ。もちろんどれが20$でどれが200$かは聞いてみるまで分からない)が、小物屋としては悪くない。日本人のジェスチャー集なんていう、怪しい本もあった。全ページ変なオヤジが写真付きで紹介している謎の本。10$位で買えてネタになるとは思ったが、いかにも日本人がこれを買ったら自分たちが飽きる(多分1日で飽きる)よりも長くネタにされるんじゃないかと思ってパス。

アップルストア。はやっぱりアップルストアでした。世界展開していて、画一的な店作りを心がけているチェーン(例えばスタバとか)店でも、日本とアメリカでは品揃えなどに微妙に違うところはあるというのに、多分この店は店内表示に日本語が使われていないことと、店員に日本語が通じないことを除けば全く銀座のそれと変わらない。銀座のアップルストアに外人が大量にいたことが、何となく理解できたような気がした。

本屋。もちろん中身を読む気はしないけれど。最初入ったフロアがさして広くなかったかと思いきや、地下に広大な空間が広がっていていた。日本みたいに平積みの本はその最初のフロア位で、あとは基本的に全部棚に入っていた。といっても背表紙を向けて、というのではなく表紙を向けて。つまりほぼ全てが平積み状態。この位の広さが無かったら考えられない贅沢なディスプレイ方法だ……。他にはジャンルがやたら細分化されているな、という印象。広さは日本の総合書店並みにカバーしつつ、深さは専門書店並みみたいな。あと日本の作家の中では村上春樹の扱いが別格。漫画の扱いは総じて上(Japanese MANGAというカテゴリで一棚あった。かなり最近のものも普通にカバーしているのが驚き。もちろん台詞は英訳されている)。

結論:やっぱり日本の本の扱いは悪い。

日本だったらハードカバー上下巻みたいなものが普通に1冊で、もちろん1冊分の値段(18$位)で売られている(両方ともに翻訳物となるもので確認)のも良いですね。

ホテルへ帰る時に、昼食を買う。1日1食でも良いんじゃないか、と思い始める(既に朝食は食べていない)。サンドイッチ(レストランで出てくる凶悪的な量のものではなく、日本のコンビニに良く売っているようなタイプ。ただこれが3$位する。高い)のみ。あと飲み物は、赤とか青とか紫とか楽しそうな色の飲み物が沢山売っていて、これは記念に1度は飲もうと思っており、どうせ飲むなら一番怪しいものだろう、ということで青のボトルに「PEACH」って書かれたものにした。実際飲んでみると味は普通。だから何でこの国は基本的なところで間違えるんだ。

今日のメインはアルカトラズ島見学。かつては最悪の犯罪者を収容するための「刑務所の中の刑務所」だったのが、コストの問題で潰れ、今では観光地になりましたという所。市北部のフィッシャーマンズワーフから船が出ているので簡単にいく事ができる。

今回日本で既に一体型のツアーとして申し込んであったので、フィッシャーマンズワーフまではホテルから現地在住の日本人ガイドがバンで送迎してくれた。単にフィッシャーマンズワーフまで乗せていってくれるだけかと思いきや。そこまでで通る町並みについていろいろな説明付き。坂が多いと言われているサンフランシスコの街だが、それがかなり実感を持って感じられたのは実はこの時が最初。そして次の日の街歩きにおいてかなり参考にもなった。現地で通じない英語を使って交渉する、というのも一つの楽しみ方であると言う人もいるが、やはり少ないチャンスで多くの情報が得られるのは手堅く日本語が通じるところであると思う。

で坂が多いというのがどういう事かというと、

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こういう感じ。ギャグか? というような険しい坂がいたるところにある。上り方面の場合、当然頂上なんか見えっこ無い。そんなところを当たり前のように車が通る。そこまでしてまっすぐな道にしたいのか、そもそもこんなところに街作ってどうするんだ(一致した意見としては、「金(ゴールドラッシュで栄えた街だから)の力は凄い」)みたいな。ユニオンスクエアより南はそれほどでも無いから、これまではあまり気にしていなかった。あと、ちなみに道の真ん中に走っているレールがケーブルカーのレールね。

ちなみに、こういう所でも路上駐車ってあるのかというと、先の写真のように普通にある。ここで右側手前の青い車のタイヤに着目。サンフランシスコでは坂に駐車する際、タイヤを曲げて万一サイドブレーキが外れた場合でも縁石にぶつかって脱落しないような対策を取らなければ60$(だっけ?)の罰金。日本の感覚だとそんなところに止めるなよみたいな感じだが、もっと上がある。

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更に坂が厳しくなると(どういう基準かは不明)、縦列駐車が必須。そこまでして止めなきゃならんか。

フィッシャーマンズワーフの船着場でアルカトラズ島行きへのチケットをもらい、ガイドさんとお別れ。この時期のアルカトラズ島行きは観光客が大挙している関係でかなり混むので、予約していないと望みの時間に乗ることは困難らしい。だからツアーという形で申し込んでいた、というのがある。このシステム中々合理的にできていて、行きの船はチケットで厳密に出航時間が決まっていて、乗るときにチェックを受けるが、帰りの船のチケットは無い。すなわちアルカトラズ島はただの観光施設で、そこで夜を明かすという事は絶対に無い(隠れでもしない限り)から、島に入る人数は行きのチケットの時点で制限可能。だから帰りは好きな便で帰ってくれば良い、という事。本土―アルカトラズ島間は片道15分位。

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船乗り場付近。小さくて分かりづらいが、真ん中の茶色いものはアザラシの大群。何で?

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本土が徐々に離れていき……

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アルカトラズ島が近づく。真ん中の建物が監獄。

船着場から監獄までの道はやっぱり険しい坂。どうやらサンフランシスコの観光地は坂を上らなければ到達できないようになっているらしい。

監獄内ではポータブルプレーヤーを渡され、そこから流れるガイドに従って見学することになる。日本語版もばっちりあるので安心。

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基本構成はこんな感じ。3階建てで、全て独居房。更にここでも問題を起こした救いようの無い囚人用に隔離房があり、そっちは完全に日の光が入らないようになっている。

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かつてはこの部屋が食堂だったらしい。囚人を一同に介させ、ナイフとフォークを渡していたため、「最も危険な場所」だったらしい。っていうか、そんなもの必要とする食事にしなければ良いだけの話じゃん。

音声ガイドは40分位で終了。基本的に建物内の展示は最低限で、日本の観光地に良くあるような説明文の類はほとんど無し。日本語の音声ガイドが無かったら、何のことだかまるで分からずに終わってしまった可能性があるなコレは。更に15分位の資料映画があって、どうせセットだから、ということで観たは良いが当然全部英語なので案の定寝る。

島内には他に目立った設備も無く、しかも風が強く快晴でもかなり寒いので、帰る。ガイド用のプレーヤーを返さないと島から帰れないという話を聞いていたが、まさに俺たちと同時に船に乗ろうとしていたオバサン集団がそれに引っかかっていたっぽく、船の入り口で警告ブザーを鳴らされていた。

この時点でまだ16時位。前日はほとんど見れなかったフィッシャーマンズワーフの本格的な散策。何故か「愛」と書かれた(その上漢字が間違っている)帽子とか、日本の胡散臭い観光地のみやげ物屋でよくありそうなものが大挙してある。ここに工場がある、GHIRADELLIのチョコレート(地元で有名。サンフランシスコ市内に山のように売っている)も沢山。とりあえずマシュマロにチョコがコーティングされて串刺しになっているものを買って道端で食べる。一口で吐くような甘さを想像していたのだが、以外にそうでも無い。普通に美味しい。日本用には、先のガイドから「3割引で買える店がある」という情報を得ていたので、そこまでは買わず。コネ最高。

夕食は別なシーフードの店で。普段ワインは飲まないのでさして興味があるわけでは無かったのだが、有名どころだしNAPA産のカリフォルニアワインを飲んでみようということで注文。とりあえず銘柄とか分からんし、口で言って通じるとも思えなかったので、ワインメニューから適当に指差して注文する。数分後、変なボトルを持って現れるウェイター。「これで良いか?」とラベルを見せてくる。こっちも何を頼んだかちゃんと覚えているわけではないので、もう一度メニューを再確認し、「OK」。

で注がれた液体はただの炭酸水だったわけだなコレが。

もう一度念入りに確認すると、2単語から成る銘柄だったのだが、最初の1単語は全く同じ、で2単語目の最後の2文字くらいが違うだけ、という凄まじい類似商品っぷり。そりゃ気づかんよ。これが口で言っただけなら間違えられても仕方ないと思うが、わざわざメニューを指しており、加えて「このNAPA Wineをくれ」と言っている。しかもそのページはワインのみで、ノンアルコールは別なページだ。こんな状況で間違えるとか、日本だったら考えられないと思うのですが。しかし開封前に確認されてしまったことが大きな弱味。それさえなければ英語でも関係無く抗議していたと思う。

食事のほうは、いろいろな種類の魚介が食べられそうなものを、と頼んだら、エビ・イカ・タコ・カキ・ホタテ・サーモンが全部から揚げになってごちゃごちゃに混ざったものが出てきた。一つ一つの質は高く、何でこんな調理方法してしまうんだという辺りがアメリカっぽくて、まあこれはこれで良かったかなと。付け合せのフライドポテトはほとんど残したけどね。この国で料理を楽しむためには、メインのみに集中して付け合せに手を出さない、というのが今回の旅行で得た教訓。

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↑フィッシャーマンズワーフの看板。夕暮れ時。

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↑海岸沿いを歩いていたら見つけた謎のオブジェ。人が集まっている雰囲気も無かったし、何のためにそこにあるのかは謎。

―5日目・1(ホテルに関する衝撃の事実、ゴールデンゲートブリッジ、乗り物解説)に続く―
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by fyama_tani | 2006-09-17 08:10 | 雑記

サンフランシスコ滞在3日目(9/11)

なんで初海外なのに、アメリカ国内で1年で最も危ない日を現地で過ごさなければならない?

早朝は単独行動で。メインストリート沿いを歩いて、何とはなしにドラッグストア風の店に入る。品物のパッケージに原色系が多く使われているからだろうか、店全体が派手な雰囲気。で品揃えが半端無い。最初マツキヨみたいな感じだと思っていたのだが、書籍類や文房具の類も、日本の小さな店程度か、それ以上には置かれている。更にはパーティ用品みたいなものもそれと同じくらい置かれていて、まるで統一性が無い。整然と陳列されたドンキという感じだろうか。

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で買ってみたのがこんなの。電子レンジで2分くらいで食べられる、という日本に良くあるタイプのものだと思う。特売品で一個当たり50セント位割安だった。他にも、「n個買うと一個タダで」的なものがこの国には異様に多い、という印象。

一部の人と合流して学会会場へ。といってももちろん発表を聞くわけではなく、日本のこの手の学会でも良くある企業の展示会を見るため。初日の昨日はまだやっておらず、会場のホールでは重機が大活躍。でも一応今日には間に合っていた。

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こういう感じ。1000単位でブースが並んでいるという規模の大きさ。これだけあると当てが無いと漠然と歩くだけになる、というか実際そうなった感が。途中、今新しく入れようとしている機器の関係でお世話になっている業者のUSA支社のブースがあり、でもそこで説明している人は思いっきりウチに来ていた人(つまり日本人)なんてのもありつつ。

ちょっと面白いのが、学会オフィシャルグッズというのが存在し、それもこの場で普通に売られていること。前にお土産でもらったことがあり、存在自体は知っていたのでそこへ行き、想像以上にいろいろあることに驚く。特に衣料品関係は、これだけで下着から全て揃いそうだ。周期表セットみたいで、外を歩くにはオススメできないけれど。こういう試み、日本でもやったら面白いような気がするんですけど。小銭稼ぎにもなるだろうし。

これに加えて、タダでお土産があるらしい、という噂をキャッチ。そういえば登録時にいろいろチケットをもらったような気がするということで調べてみて、確かにそれらしきものを発見。タダでもらえるなら、ということで入手。

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絵葉書とロゴ入りボールペン。ちなみに、絵葉書はしかるべきところに出せばタダで送ってくれる、というサービスもあったようだ。

ある程度の収穫がありつつ、午後イチでDの先輩の発表を聞く。自分の発表だけなら全部英語でも丸暗記で何とかなるとはいえ、質疑応答はそうはいかない、というかまず質問を聞き取るというところから自分にとっては壁だらけだが、さすが留学経験がある人だけあって、そつなくこなしていた。裏に大きなシンポジウムがいくつかあったせいで、あまり人がいなかったことが残念といえば残念。

その後、今日は郊外方面へ遠出。BARTで40分ぐらいの所にある、カリフォルニア州立大学バークレー校(有機化学の教科書で有名なVollhardtはここの教授、一般的な有名どころとしては孫正義の出身校)を目指す。最寄り駅からは歩いて15分程度で門に到着。その間は日本でも良くあるようにいろいろな店が並ぶ、いかにも学生街という感じ。ただ、そこから先が遠いです先生。ある程度予想は出来ていたが、やっぱり敷地が広いから、見たいポイントを回るだけでも大変(使わなかったけど、シャトルバスも走っている模様)。その上なんかやたらに坂が多く、ランドマーク的存在であるSather Towerに行くまでにはかなり骨が折れた。

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Sather Tower。上まで上れるとの事だったが、最初「もしかして階段か?」とビビる。実際はエレベーターがあるので楽チン。

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Sather Towerの上から大学を一望。半端なく広い。この写真を撮っていた時にちょうど15時の鐘が鳴る(時計台なので)。鐘の真下で聞いた格好になるので、耳が一時おかしくなる。

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その広さを象徴するかのような建物。多分Lifescience系の学部が入った建物。これで全体の1/4位。全景はあまりに大きすぎて撮影することができなかった(フレームに入らなかった)。

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野リス。構内の至るところで見かけた。日本の大学で言う猫みたいな存在?

生協みたいな所でオフィシャルグッズを買い込んでみたり(3フロアくらいある。特に衣料品関係は、「ここは服屋か?」というくらいに充実している)。多分今は新入生歓迎シーズンなのだろう。日本でも見られるようなサークル勧誘の図もそこにはあった。というよりこの辺りは世界中どこでも変わらん感じ。

夕方は一旦中心部近くまで戻り、フィッシャーマンズ・ワーフと呼ばれる海岸沿いの地区へ。この辺りはかなり観光客ナイズされている地区らしい。今日はあまり時間も無いし、明日もう一度ここへ来ることが決まっていたので、とりあえず夕食だけ。シーフードが名物ということで、それで。白身魚のソテーのようなものを食べたが、何か3日目にしてようやくまともなものを食べた、というくらいに普通においしく、最初から最後まで満足していただく。いままでのものも味は決して悪くないのだが、いかんせん量が多すぎて最後には挫折するんだよね。良く分からないのはビールの扱い。最初メニューには何も書かれておらず、でも隣のテーブルの客は普通に頼んでいたのを見て、「ビールは無いか」とウェイターに聞いたら「ある。○○と××と~」という感じで10種類くらいあることが判明。とりあえず地ビールがあるらしいということは分かったので、それを頼む。やや黒みがかっていて、普通に旨い。メニューに無いにも関わらず、現地の人はみんなこれを頼んでいた。何だそれ。ここに来たら、メニューの有無に関係なく、「Local Beerは無いか?」と聞いてみると吉かも。

中心部へはケーブルカーを使って移動。サンフランシスコ名物の一つらしい。日本のケーブルカーみたいなものを想像していたので、「上にケーブルが無いじゃん」と思っていてしばらく移動方法が謎だったのだが、どうもケーブルは地下を走っているらしい。ちなみに凄まじく混むので、始発からじゃないとまず乗れない。基本的には地元民というより観光客向けらしく、車掌は結構親切(停車場は各交差点ごと。案内もちゃんとある)。そして運賃はぼったくり(片道5$。バスが1$50セントであることを考えると驚異的な高さ。フリーパスの元を取るには最適)。

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いろんな人が写真を撮っていたので俺も。終点で行われる方向転換。回転する台の上に乗り、車掌がカーを180度回転(多分半手動)させる。真ん中の黒人が車掌。

一旦ホテルに戻って荷物の整理をし、再び学会会場へ。昨日のポスターと同じ時間でやっている、「Sci-Mix」なるものを見に行くため。基本的にはポスター発表だが、選抜制で全分野が一同に会するというもの。学会全体の中でもかなり大きなウェイトが占められているらしい。

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数十に渡る分野が一堂に会する。昨日よりも更に人出は多い。

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ポスターを眺めていたら突然渡された。次期学会会長候補? こんな政治活動が行われる場でもあるらしい。

ここで最初にもらったチケットが再び活躍。2杯まではビールがタダ(チケットなしだと5$)で飲める。ただ、結局英語は分からんからそれだけのために来たとも言えなくも無い。帰りはやっぱり22時過ぎなので、今日はシャトルバスを使って素直に帰る。一応ホテルが閉まる23時前に帰ることができた。

―4日目(単独行動、アルカトラズ島、フィッシャーマンズワーフ)に続く―
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by fyama_tani | 2006-09-17 00:54 | 雑記