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米澤穂信『春期限定いちごタルト事件』

No.1
創元推理文庫:2004
☆☆☆
ああ、絶対に憶えていたはずなのに。唸れ海馬。繋がれニューロン。ついでに時間も止まってくれれば言うことはない。

海馬は唸らない。「自分が覚えていないこと=自分にとって重要でない事」と解釈すれば万事うまくいきます<馬鹿

「日常の謎」ものの一作。高校一年生の小鳩君と小佐内さんが小市民の星を目指して事件にはなるべく関わらないようにするみたいな短編集。何か過去にあったような設定ですが、ベタに本人達がそう言っている(もしくはお互いが言う)科白から読み取れるだけで、状況描写からはあまり読み取れなかったのが残念。

重いテーマを扱っているわけでもなければ、論理のアクロバットを要求しているわけでも無いので、電車の中とかで軽く読むのには良いですね。それなりに意外性もありますよ。ただの自転車泥棒が実は○○に絡んでいたとはねー。ちょっと日常に焦点を当てているにしてはスケール大きくない? と思いましたが。長編にしても耐えられるレベルかもね。

そしてごく最近続編といえる短編集(店頭で見ただけ)が出ました。気になる人はそちらも併せて。

関連本→
北村薫『空飛ぶ馬』:この系統のミステリにおいて、教科書と言える存在でしょう。
乙一『GOTH』:登場人物の関係のようなものは似ている。よりダークな世界観を求めるなら。
by fyama_tani | 2006-04-29 21:02 | 本:国内ミステリ