島田荘司『占星術殺人事件』
No.3
講談社文庫:1981 ☆☆☆☆ 「(前略)今は顕微鏡単位までが捜査の対象だからね、そういう意味じゃ現代は犯罪者にとって夢のない時代です」 お見事なフェアプレイ。 受験問題的な一作。すなわち、今起きている事件を解くという訳ではなく、40年前に起きた未解決事件を当時の資料を元に解き明かす、という筋になっています。 その内容は怪しげな画家の手記から始まって、その通りに人が殺され、でもその前に画家自身が殺されているという良く分からないものであって、まあ一部の人には結構受けるでしょう。 そんな内容なので、雰囲気を楽しむとかというよりは、一緒になってこの謎を解いてやろう、という感じで読んだ方が良いのかもしれません。答えへの道筋は(それも結構あからさまな形で)示されているのですし……。 ちなみに、本作の最も重要な(そして最もインパクトがある)トリックは、某有名作品においてその中においても非常に評価が高い話にパクられている、というのはそれなりに有名な話。まあ、この作品が元ネタだと知らなかったら高い評価が付けられても仕方無いですかね。 関連本→ 有栖川有栖『双頭の悪魔』:同じく、良質な問題と、それに対する解答の巧さ。 高木彬光『成吉思汗の秘密』:本人(島田)も認めているが、根幹はこんな感じの歴史ミステリかも。
by fyama_tani
| 2006-05-09 23:02
| 本:国内ミステリ
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小説の紹介とか化学に関する事とかを織り交ぜながら適当に。
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