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坂木司『青空の卵』

No.4
創元推理文庫:2002
☆☆☆
「鳥井真一。ひきこもりだから、今回みたいに外を引き回されるのは好きじゃない。家に来るぶんには許す。次回から気をつけろよ」

本当の引きこもりはそんな事言わないと思う。

保険外交員の坂木司とその友人でひきこもりの鳥井真一が日常の謎を解く、ってついこの前読んだ『春期限定いちごタルト事件』にめちゃくちゃチュエーションが似ているのですが。短編としての精度はこっちの方が高いかな。一応謎を解くというだけでなく、鳥井真一のひきこもりからの回復というのが横糸にあるというのが原因かもしれません。ちょっと非現実的ですけれどね。人をたくさん呼んじゃうのは良いのかよ、みたいな。こういう点謎解きのシチュエーションは京極堂に似ていますかね。
後半に向けて謎の解明より鳥井自身の問題に向き合うようになってきます。最後にちょっとだけついている「初夏のひよこ」をどこかの短編に組み込むのでなく、独立したエピソードとしたのがその何よりの現れでしょう。

関連本→
米澤穂信『春期限定いちごタルト事件』:偶然とはいえ基本骨格似過ぎ。
藤野千夜『夏の約束』:男2人が主人公といってもこういう関係では無いですよ。
by fyama_tani | 2006-05-10 22:29 | 本:国内ミステリ