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殊能将之『美濃牛』

No.6
講談社文庫:2000
☆☆☆☆
「目の前でこんなこと言いたくないがな、石動は恐ろしく頭が切れる。おれなんかより何十倍も頭がいいだろう。ところが、こいつはその利口な頭をろくなことに使わない。ちゃんと仕事すりゃいいのによ、わけのわからないことに頭脳を消費する」

それでこそ名探偵。

フリーライターの天瀬が取材で訪れた暮枝村。その仲介役であり、村にリゾート開発の話を持ち込んだ自称ディダクティブ・ディレクターの石動戯作に振り回されているうちに殺人事件が起こり、それに巻き込まれていくみたいな。
古き作品(といっても私は読書量が少ないので雰囲気しか分かりませんが)を思わせる舞台装置、古今東西のテキストからの多彩な引用、でも全体を覆う雰囲気はどことなくふざけているんだな。そのアンバランスさが最大の魅力。長めの話で構成も結構複雑なので、ある程度読書慣れていないと結構重いです。どうせ随所に散りばめられた小ネタが全部分かるのは作者本人くらいだ、と開き直ってしまうのが吉。
これだけ長い話ながら、その本質はラスト1ページに全て集約されているというのも中々凄いです。ネタバレも含むのでここに引用するのは避けますが、最後まで読んだ人なら何となく分かるのでは? と思います。

関連本→
柄刀一『ifの迷宮』:やはりどことなくそれっぽくない旧家が舞台、という事で。
by fyama_tani | 2006-05-14 21:57 | 本:国内ミステリ