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伊坂幸太郎『ラッシュライフ』

No.7
新潮文庫:2002
☆☆☆☆☆
「あなたの好きな日本語を教えて下さい」

こういう所で「鬱」とかサラリと書ける人はそれはそれで凄いと思う。

何だこれは。

メインストーリーとして4 (+1)つが併走して、もちろん一つの作品だから最後には絡んでくれないと困るわけだけど、そのスケール感が他には無いものだと感じました。

個別のストーリーそれぞれの絡み方を出来すぎだと感じるかどうかは人それぞれかもしれませんが、それぞれから意図的に関連するものだけを抜き出して再構成すれば(ここまで変に確率はそんなに高くないと思いますが)、こうなるのもある意味必然かな、と。隅々まで計算し尽くされた構成を楽しんで下さい。まだ自分の中では完全解決出来ていませんが。終わりが唐突のような気がしないでも無いですが、あまり気にならなかったのはそれだけ巧く作られているということなのでしょう。全体的には、出来の良いDQ7って感じでしょうかねえ。

やや甘めですがここは☆5つで。

関連本→
殊能将之『ハサミ男』:こんな感じで偶然が使われることもあるわけだし。
多島斗志之『症例A』:本作に対して「どうこの2つのパートが関連してくるんだ?」と思った違和感は忘れがたいものがあります。
by fyama_tani | 2006-05-16 20:13 | 本:国内ミステリ