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辻村深月『凍りのくじら』
No.9
講談社ノベルス:2005 ☆☆☆ 大人は漫画をバカにするけど、その漫画だって満足に読めない子たちが多いことに気付いているだろうか。 日本の教育の暗部がここに。 簡単にまとめてしまうと、高校生の主人公理帆子を中心とした一夏の物語、という感じですが、やや特殊な設定がなされており、それが本作の独自性を構築していると言えます。 それは、理帆子は読書がこの上なく好きである事と、「ドラえもん」及び作者の藤子・F・不二雄氏を特別な存在として捉えている、という点です。作中では、藤子氏がSFを「少し・不思議」としたのになぞらえて、理帆子が周りの人間を「少し・F〜」と表現するシーンが頻繁に出てきます。「少し・不思議」という表現は初めて聞きましたが、帯の推薦文も書いている瀬名秀明あたりに言わせると、かなり強い影響を与えた言葉らしいですね。 そんなわけで本作では「ドラえもん」が作品の根幹を為すことになります。ドラえもんがいない世界においても同種の世界観は構築し得るか? という命題に端を発し、日本のストーリー史におけるドラえもんの位置づけにおいて一つの答えを出している、というのは少し言い過ぎでしょうか。その結果のラストは解釈が分かれる所だと思います。版元が講談社ノベルスだからかもしれませんが、ここに変な小細工はいらなかった……ような。 本に関する示唆的なエピソードも多いのも特徴ですね。理帆子の小学校時代の司書とのやり取りなんて最たるものですね。学校関係者って、本に近い所にいて本来ならば読書の楽しさを教えられるはずの人に限って何でこんな感じの馬鹿が多いのでしょうかね。 関連本→ 宮部みゆき『蒲生邸事件』:作品の根底に流れるものは結構似てる? 宮部みゆき『夢にも思わない』:もう一つ宮部みゆき。結末から受ける印象が近いような気がします。
by fyama_tani
| 2006-05-25 22:23
| 本:国内ミステリ
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![]() 小説の紹介とか化学に関する事とかを織り交ぜながら適当に。
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