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東ゆみこ『「世界の神々」がよくわかる本—ゼウス、アポロンからシヴァ、ギルガメシュまで

No.10
PHP文庫:2005
☆☆
 北欧神話の最高神、「高き者」と称されたオーディンは、次のようなことを述べている。広く旅をし、ほうぼうを遍歴した者だけが、知恵という名の富を有していると。

すなわち引きこもりに明日は無い。

タイトル通り、ギリシャ神話から北欧・ケルト・インド・メソポタミアなど、世界中の神話の登場人物についてダイジェスト的に紹介した内容となっています。それが300ページ位の文庫本一冊にまとまっているわけですから、とりあえずどんな神がいるのか知っておきたいという人にはかなりお手軽であると言えるでしょう。

ただ、やっぱりこの分量でこれだけ広い内容を扱うってのは無理がありますね。どれもこれも消化不良で終わってしまっているという感じで、所々に本書内で全く言及されていない神との関係が前提無しに出てきて、「オイオイ意味分かんねえよ」みたいな状況になっています。作者の構成力にも問題があるのかもしれませんが……。

どうせこれだけ広い内容を扱うならば、各神話間の関係についてもっと言及すると良かったのではないでしょうか。異なる神話間の神が歴史の流れの中で同一視されるようになったという事は割とありそうなので。あと、クトゥルー神話まで扱っている辺りで、明らかに編者は自分の専門外まで手を出しているのだから、日本の神話への言及がもっとあっても良いのではないかと思いました。所詮学術書では無いのだから、ディテールにこだわるよりは読みやすい文章を。
by fyama_tani | 2006-05-26 21:48 | 本:その他