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昔の論文も侮れない、という好例

Matsui et al. 「A Convenient Trifluoromethylation of Aromatic Halides with Sodium Trifluoroacetate」
Chem. Lett. 1981, 10, 1719-1720.

前のは、脱炭酸のためにCuを使っているのですが、全く違う観点から調べていたら偶然、かなり近い事を遙か25年前に日本人がやっていたという事が判明したので合わせて。

要するにアリールハライドのハライド部分をCF3化しましょうというものなのだが、やはりCu(これは過剰量)を用いており、CF3源としてCF3COONaを用いているというのがミソ。つまり脱炭酸過程を経ている。CF3化自体あまり例が多くない(ような気がする)のと合わせて、なかなか興味深いです。

この時代は「電子投稿? 何それ?」であったせいか、世界を代表するような発見がマイナー雑誌に投稿されているということも結構普通にあるような気がします。まあそれでも凄いものは勝手に広まっていくのだと思うのですが、マイナー雑誌の宿命であまり多くの人に見られることなく、そのまま忘れ去られていった反応も以外に転がっている、ような。

実際一時期20年前に数例だけあって、まだまだ改善の余地があるにも関わらずそのまま放置されていた反応を発掘して、そこにヤマを張ってしばらく検討していた
(結局お蔵入りになったが)ことがあるのですが、まだまだそういう「埋もれたネタ」が転がっているのでしょうね。そして思いつきに乏しい自分のような人間はそこに期待するしかないみたいな。
by fyama_tani | 2006-10-28 23:51 | 化学:論文絡み