2006年 08月 01日 ( 1 )

法月綸太郎『密閉教室』

No.30
講談社文庫:1988
☆☆☆
 しかし紙の上の名探偵はそんな解決では満足しない。あまりにもデリカシーに欠けているからだ。

まあ、お約束、っつうやつですかね?

舞台はある高校。そこの学生が教室の中で死んでいて、しかもその教室には机と椅子が一つ残らず無くなっていた、という状況に対して主人公を中心にディスカッションが繰り広げられるという、展開としてはありがちなものです。

節がもの凄く細かく区切られていて(短いものだと1ページをきる)、小説というよりもさながらシナリオ台本を読んでいるように感じました。これが多分、物語全体にスピーディな展開を与えて、型通りの展開を飽きさせない要因にもなっているのかもしれません。

終盤に差し掛かるところで大きな転機があります。そこに差し掛かった時に、俺は「ああなるほど、これ以降、○○が無い状態でその必然性の有無を含めた展開が為されるんだなあ」と思って、流石新本格とか勝手に思っていたのですが、結構つまらない形で終わっちゃいましたね。○○の必然性という点に関しては最後にそれに触れるような雰囲気のところはあるのですが、どことなく中途半端かなあと。

メインの謎の一つである、「何故机と椅子は全て無くなっていたか?」に関する説明はかなり綺麗だと思います。ただ、もう一つの謎を構成する一つであるあのらくがき、あっちはちょっといただけませんかね。あの形を見た瞬間に、「アレと関係あるんじゃね?」と気づいた俺は職業病みたいなものなのかもしれませんが、それが××を指すとは考えられません。所詮そっち関係に関しては作者は素人で、それに対して回りも突っ込めるほどみんな興味が無いんでしょうね、多分。

関連本→
石持浅海『扉は閉ざされたまま』:たった一つの命題に生真面目に取り組む、という点ではこれが近いかな。
古処誠二『フラグメント(ノベルス版は『少年たちの密室』)』:後半、全く違う絵を描き出し、それがうまく決まっている作品だと思う。
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by fyama_tani | 2006-08-01 23:17 | 本:国内ミステリ